「構えー!」力強い掛け声がグランドに響き渡ります。親・子・教師をあわせた約120名が一斉に腕をぐっと突き出し、足を踏ん張ります。広いグランドに一瞬の静寂と小鳥のさえずり。と、一転して張りのある三味線のリズムで、3ヶ月近くの熱い日々が凝縮された3分半のドラマが始まります。
岩船小学校は今年創立32年を迎えましたが、30周年を機にPTAの取り組みが変わりました。30周年事業で成し遂げたPTAの協力や共同を引き継いでいきたいということから、昨年の役員会で、PTA行事としての岩小フェスタを規模は別にしても継続してみようということになりました。
さらに今年は、私市小学校や藤が尾小学校の『南中ソーラン』に触発されて、「岩船小学校でも踊ってみたい」「運動会のPTA種目にしてはどうか」との意見が採用されました。
講師には、私小・藤小で実績のある踊りのグループ『流星』の副代表に来ていただき、踊りの参加者を募って『岩小南中ソーラン』の取り組みがスタートしました。9月21日の運動会まで2ヶ月半でした。
参加人数は9月に入ってからは募集を停止するほどの勢いで増え、スタート時点に比べると4倍近くにもなりました。それはなんといっても南中ソーランという踊りの持つ魅力・かっこよさ・そしてみんなで何かを作り上げたいという思いからではないでしょうか。 運動会後の10月5日に開催された反省会でも、「金八先生を見ていつかは踊ってみたかった」「子どもを誘ってみたけど尻込みするので私だけでもと思った」「踊れるかどうか心配だったけど踊って気持ちよかった。来年も踊りたい」など、夢が実現したとの感想がいっぱいでした。また、何よりも6年生を先頭に子どもたちが回を追うごとにどんどん踊りにのめりこみ、手のひらの向きやかかとの付け方にまでこだわる打ち込みようは、特筆すべきものがありました。
そうして迎えた運動会の当日。午前中プログラムの最後が南中ソーランでした。5・6年児童は手作りのハッピにはちまき、その他も色を揃えて「オーッ!」の掛け声とともに入場。その模様を広報担当者など4台のビデオが追いかけます。
無我夢中の3分半。こんなに体が動くようになったと実感できる3分半。約120名の情熱がひとつになり、たくさんの観客を魅了した3分半でした。